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2011年4月

2011年4月16日 (土)

今、とるべきリーダーシップ

4月15日(金)の日経新聞「私の履歴書」を読んでぐっときた。

今月の筆者は元アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュ。

いわゆる「9・11」直後の彼がどういうリーダーシップを取ったかが具体的な言葉として書かれていた。

彼はテロ直後の9月14日、世界貿易センタービル跡地を見舞い、救助作業に当たる消防隊員や警察官らを激励してリーダーシップを発揮し、一時は歴代トップのケネディをも上回る驚異的な支持率を獲得したという。

この激励演説のことは「他国のニュース」として私は知っていた。
しかし大統領自身の言葉で綴られた文章を読むとその時の情景がリアルに伝わってきた。

その時の彼らのやりとりをブッシュはこう記述している(一部前後を編集)。
『「ジョージ、こんなことをやった奴らを見つけ出して殺してくれ」
初対面の大統領をファーストネームで呼ぶことは米国でも滅多にない。だが、この場の空気はそれを許していた。
別の一人がすぐに続く。「俺の期待を裏切るなよ」。私の顔にめがけて「何が何でもやってくれ」と怒鳴りつける者もいた。いつの間にか私と握手するため列をなしていた作業員たちは群衆となり私を幾重にも囲んでいた。
(中略)苛立ちを募らせ始めた作業員に対して、ハンドマイクを通じて「私も世界中も皆の声を聞いている」と応じた。そして「このビルを倒した奴らにも私たちの声がすぐに聞こえるはずだ」と続けると群衆は待ちかねたかのように感情を爆発させた。いつしか「USA、USA、USA」の大合唱があたり一帯にこだましていた。』

Bush_ground_zero

私は政治家の回顧録を一から十まで信じる甘ちゃんではない。
ましてや彼が起こしたイラク戦争に関して私は懐疑的だし、テロや戦争に関しては圧倒的なリーダーシップを発揮した彼も、ハリケーン・カトリーナの過去最大級の被害に対しては後手後手に回ったという。

だが、前述のきらめくような演説はリーダーシップを超えカリスマすら感じさせるではないか。

昔、ある上司に刷り込まれた言葉がある。
『いいか、今、お前の部下は多少強引でもいいから引っ張ってくれる上司を求めてるんだ。すべての部下に好かれる上司なんていないということを知れ。リーダーシップとは自己犠牲であり孤独なものなんだ』

多少カッコよく編集しているが、要はそういう意味のことを何度も聞かされた。
特に付き合いの深い方ではなかったが、この言葉は強烈な印象として残っている。
そしてそれから10年以上も経つ今も、この言葉を胸に行動するようにしている。

今、我が国のリーダーは何をしているのだろう?

今、私は何をするべきだろう?

眠れずに酒をかじりながら考える夜だった。

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