実は東京湾一周サイクリング(通称ワンイチとかいうらしい)を実行したのです。
思い立ったのは一週間ほど前。何気なくサイクリング関係の情報をWEBで検索していたらワンイチ達成者のブログにたまたまたどり着き、内容を拝見するとこれがなかなか面白そう。
このワンイチ、サイクリングマニアの間では割とメジャーらしく、ブログを検索すると結構な数の自転車マニアが体験記を書いている。
皆さんそれぞれ面白おかしく書いており、読み進めて行くうちに「俺にも出来るんじゃないか?」との気持ちがむくむくと膨らみ衝動的に計画することに(笑)
幸い珍しく今度の金土は仕事が連休なので、金曜日に走って土曜日は死んだように自宅で静養すればなんとかなるだろうと軽い気持ちで計画を立案。
千葉を回るとなれば普段行くことの出来ないエリアのラーメン探索も兼ねてしまおうということで、君津市にある「大ちゃんらーめん」をターゲットに設定(これ大事w)。
あとは時計回りに回るか逆周りするかの問題だが・・・各ブログを参照すると逆時計回りの方が圧倒的に多いようだ。ならばそうするかと安易に決断。
てなことで自転車ナビタイムで検索しながら以下のように行程を立案。
①自宅~久里浜港 36.4km 2時間33分(5時30分発:8時着)
②久里浜港~金谷港 40分(8時20発:9時着)
③金谷港~大ちゃんラーメン 22.1km 1時間49分(9時10発:11時着)
④大ちゃんラーメン~千葉駅 44.4km 3時間8分(12時発:15時着)
⑤千葉駅~品川駅 45.4km 3時間16分(15時30分発:18時45分着)
⑥品川駅~自宅 28.2km 1時間57分(19時発:21時着)
【合計走行距離 176.5km 乗車時間12時間43分 全体所要時間15時間半】
これに休憩を加えた時間と、ナビタイムの設定時間よりも少し早く走れることをプラスマイナスすると大体予定通りでいけるでしょ!
朝5時半発で帰宅が21時か・・・この暑い中、13時間以上自転車を漕いでいて気が狂わなければ良いが(笑)
あとは準備物。
サドルバッグに常備している物としてはパンク修理一式、タイヤチューブ1本、ガスボンベ2本、緊急パンク修理セット、それと工具一式。
一応これでパンク対策はOK。怖いのはチェーン切れなどの重症だが、もしそんなことが起きれば天を仰いで諦めるしかない。
次にナビ関係。
僕の場合、ナビも走行ログもiPhoneのソフトでまかなっています。「自転車ナビタイム」と「Road Bike Pro」。なので充電器は必須。いつもは1個あれば十分なのだが今回は用意周到に3個用意。
あとは写真撮影用に古いiPhoneを1台と冷凍ペットボトルを包んだタオル2枚と着替え用のTシャツ1枚。
とりあえずこんなもんかな。お土産も買うことを考えるとリュックサックを背負うことになるけどまあいいか。
ちゅーことで前夜は21時頃、ウキウキと早めの就寝。
当日。起床は4時半。まさに遠足に行く小学生気分。
風呂にゆっくり入って目を覚ます。朝食は久里浜フェリーで取る予定なので特に口にせず。
部屋でまず写真を1枚(意味は特にないw)。
奥さんと愛猫に軽く声を掛けて部屋を出る。マンションの前で愛車を撮影してさあ出発!
予定通り5時半にスタート。まずは36km先の久里浜港を目指します。
最初の道程は慣れたもの。国道1号線から井土ヶ谷を抜け、鎌倉街道を経由して国道16号に出ると初めて横須賀方面の文字が目に入る。
ここで出発からちょうど10km。当たり前だがまだまだ元気。
横須賀まではしばらくこの16号を走ることになるのだが、千葉に渡ってからこの16号に苦しめられることになろうとは今の俺はまだ知らない
さて、横須賀に向かう途中、こういった感じのトンネルを度々通ることになります。
これが古くて狭くて危ない!なのでテールライトは必須。
出発から1時間。ちょうど金沢文庫駅を通過。
第一ポイントの久里浜港まではちょうど半分くらい。順調順調。
そのまま進むと米軍基地前に。いつもはシャーっと通り過ぎるだけなんだけど、今日は後々ブログに書く気満々なんで写真撮っておくか・・・いや、お巡りさんが立っているので堂々とは撮れない。ささっと素早くシャッターを切るとなんだか訳のわからん写真に(笑)
スタートから25km付近でナビを見ると久里浜港にはかなり早目に着きそう。8時20分の出航だから8時くらいに着けばいいかと思っていたが7時40分くらいに着いちゃいそうだ。
じゃ少し休憩していくかなぁと考えて三笠公園に寄ることに。三笠公園はお気に入りの場所で横須賀方面に走る際は必ず寄る場所なのです。
で、公園に着いたのは7時過ぎ・・・りゃ!まだ閉まってたか!
トイレで顔を洗いたかったが、まあしょうがない。
5分ほど休憩して再び久里浜を目指してペダルを漕ぎ始める。
3kmほど走ると大津の交差点。ここで国道16号に別れを告げ国道134号に入ります。
さあ久里浜港まであと7kmほど。時間も余裕だから焦らずにペダルを踏む。
なんせまだ140km以上残っているのだからここで足を使ってしまっては先が思いやられる。
途中、JR久里浜駅を右手に見る。
サイクリングを始めて間もない頃、横須賀方面に走ったときにここで休憩したことを思い出す。
久里浜港まであと2km。がんばれ俺。
「フェリー乗り場はこちら」の案内が見えてきたあたりで「ペリー公園」なる標識を発見。
むう(゚ε゚ ) 幕末フェチの僕としてここは押えておきたいが・・・だめだ、今日は無理。またにしよう。
(調べてみました。無理して行くまでもなかったようなので諦めて正解(笑))
http://www.kanagawaparks.com/kurihama-perry/perry/
ということで久里浜港に到着したのは7時53分。
フェリー切符売り場前に駐輪して切符を買い求めます。自転車込みで1,210円也。
窓口のお姉さまから切符を受け取りながら「えっと、乗船ってどうしたらいいんですか?」と聞くと「バイクと一緒に並んでください」とのこと。
なるほど、バイクが1台のみスタンバイしている。では横付けして写真など撮るか・・・と考える間もなく、「はい、そのままお進み下さい」と即乗船を促されてしまった。
え
まだフェリーの写真とか切符の写真とか撮ってないし、頭の中にはフェリーと愛車をバックに自撮りしている俺がいたのだが・・・そのまま自転車にまたがり乗船。
「こっちこっち」と手招きする係員さんに吸いつけられるように停車。
係員さんは丁寧に転倒防止の木型などをはめてくれました。
・・・その際、「関係ないんですけど・・・」とハンドルを握って軽くゆすって「ハブが随分ヘタってますね」とのこと。
その時は「あ・ああ・・・そうですね」と答えた僕だったけど・・・
ハブってなんだ?
気にはなったものの、そこでググって調べて重要な欠陥だったりすると気になって残り140kmの旅が陳腐なものになりかねないので一旦忘れることにした。
(調べてみました。結構重要な部品だけどハブがイカレル前に他の部品が終わってしまうとのこと。ちゅーことは僕の愛車も結構おじいさんになってきてるってことか)
http://bicycle-post.jp/pwk0000700-post-2/
で、愛車を離れ階段を上り客室へ。
どうやら二輪車はバイクの方と僕の二人だけのよう。少し安心。というのも僕は人見知りなので同じサイクル野郎から話しかけられたりしたら面倒だなと思っていたので(笑)
まずは手洗いをして顔をジャブジャブ洗う。
デッキに出て休憩。ここまでのログを見ると38km。
三笠公園で5分ほど休憩したものの38kmを一気に走った割には疲労感はない。残り140kmを考えたらここで疲労感を感じていたらやばいか。
出航までまだ少し時間があるようなので写真を撮りまくる。
まずはチケット。この旅での最高額の出費(笑)
フェリーのりば遠景。
久里浜港の中途半端なパノラマ。
謎の「くりはま花の国」(ペリー公園とセットかい!)
http://www.kanagawaparks.com/kurihama-perry/
花の国をバックに自撮り
固定されたデッキのテーブルと椅子
もういいか、こんなにフェリー情報いらんやろ(笑)さて朝食を求めに売店へ。
サイクル野郎達のブログを読み漁ったときに高確率でこの「よこすか海軍カリーパン」が登場していたのでゲット。
中身はこんな感じ。
うん、少々ピリッとしていてなかなかのお味。だけどこれで230円(200円だったかな?)は高いっしょ。セブンで100円で買えそう。
あとは船内を少しウロウロしてみたけど格別面白いことも無さそうなので、しっかり水分補給をしたり入念に何回もトイレに行ったり(笑)していると予定通り9時に金谷港に到着。
乗るときも車より先だったが降りるときも一番に下ろしてもらった。
乗船したときには時間が無かったので撮れなかったフェリーの乗船口を撮影。(面白くもなんともない絵だけどw)
さあ次なる目標は22km先の「大ちゃんらーめん」ですな。11時開店との情報だから少し前に着くくらいで走れるだろう。ちょうどいい計算。
ここからは国道127号を北上します。しばらくは海沿いだからこんな感じの景色が続く。
すぐに現れたのが天然温泉。
温泉かぁ、入りたいなぁ。お土産も買いたいし。でもまだまだ先が長いからここは我慢だ。
国道127号はすこぶる快適。こんな感じで道が整備されているので走りやすい。
しばらく走ると千葉方面の標識。目指すラーメン屋は君津市だから木更津の手前ということになるか。
っとこの時、信号待ちで横に並んだ袖ヶ浦ナンバーの工事車両のおじさん達が声を掛けてきた。
「兄ちゃん、どごがらきたー?」
・・・まあ兄ちゃんって歳でもないんだけど(笑)。でも気のよさそうなおじさん達だ。
「横浜からです。今日はこのまま東京湾を一周するんですよ」と言うとおじさん達は呆れたような表情を浮かべる。そりゃそうだろう、二週間前の俺だってこんなことは思いつきもしなかった。
「きーつけてなー!」と声を掛けてくれておじさん達は行ってしまった。
ところで今日は薄曇りの天気模様。晴れていると対岸には三浦半島が見えるのだろうけど、今日はこんな感じ。
まあその三浦半島から渡ってきたんだから見えなくても別に良かろう。
また少し走っていると・・・おお!絶滅寸前のサラダ館を発見!
あまり書くと素性が割れてしまうのだが、サラダ館にはそれなりの思い入れがある僕である。がんばって欲しいものだ。
で、このまま行くと10時15分くらいにラーメン屋に着いてしまいそう。それではいくらなんでも早すぎるだろう。少し早いけどどこかで少々休憩するか。
などと適当な休憩場所を探していると「上総湊海浜公園」の看板が目に入る。
ん~、ぱっとしなさそうだけど、まあここでいいか。
ちゅーことで海岸近くまで自転車を進めてきたが・・・
ぱっとせん!
茫々とした草むらの先に砂浜と海が広がっているだけ(笑)
まあいいか。ここで少しぼーっとしながら暫し水分補給などの休憩した後、ふたたび走り出します。
この辺りでなんとなく胃がもたれるというか胸焼けがする。・・・理由はあれしか考えられない。
海軍カリーパンよ、お前か
まあ、それほど酷くならなかったんで笑い話であります。
で、国道127号線はこの辺りから海岸線に別れを告げ、のどかな田園風景になっていく。
いちご狩りやブルーベリー狩りなるものまで楽しめるのか。
さっきまで海岸線だったのに・・・う~む奥が深いぞ千葉県!
そしてピラミッドもしくはルーブル美術館的な建物を発見したので反射的にシャッターを押した後気がついた。
ラブホかいっ!
深い、深すぎるぞ千葉県!
千葉の懐の深さに驚愕しながら(ちょっと嘘w)、目指すポイントである「大ちゃんらーめん」に着いたのは10時40分。
・・・な・並んでる~!
いやいや今日は平日だし、失礼ながらこんなローカルな立地で開店20分前に10人近い行列が出来てるとは思わなかった。
急いで自転車を駐車場の片隅に停め、吸いつけられるように列に接続。
店内は広いようだし、僕は10人目のようだからすんなり入店は出来るだろうけど、この人気振りにはびっくりしたなぁ。
5分ほど並んでいると早めに開店してくれたみたいでラッキー。
で、これが念願の「しおとんこつ(650円也)」。
分類的には塩ラーメンなのだろうけど、これがまた醤油のようであり味噌のようでもあり・・・これもまた懐の深い味でありました。
さて、旨いラーメンを満喫した後、店を後にしたのは11時半。
ここで一度、ナビを現在地から自宅までの距離を表示させて見る。
ひゃ・ひゃくじゅうはちキロ
ううむ。分かってはいたものの、モチベーション向上の為にはもうちょい刻んで表示すれば良かったか。
とはいえこれがベストな行程なのだろうから、このままこの表示を頼りに走っていくこととする。
ちなみに自宅を出発してからこのラーメン屋まで62km。ちょうど三分の一を走り終えたということか。まあ順調といえば順調。
しかしここから辛いのは明確なポイントを設けて無いこと。
自宅を出発してからはまず久里浜港、そして千葉に渡ってからはラーメン屋と手ごろなポイントがあったのだけど、いきなり118km先を目指しても辛い。
先達のサイクル野郎様達のブログを読み漁ったときの記述が頭に浮かぶ。それほど疲れを感じなくても1時間に1回は休憩を取ることが良いと書いてあった。
それにお昼になってからやたら天気が良くなった。この直射日光を長時間浴び続けるのは避けたほうが良いだろう。
ということで1時間または20kmほどをめどに休憩を取ることに決めて走り出した。
道は国道127号から国道16号に入る。
木更津大橋を渡ったところで道路脇に表示してある案内が目に入り気になる。
・・・今、「横浜まで200km」とか書いてなかったか?止まって確認するとたしかにそう表示してある。
少し止まって頭を回転させてみる。
なるほど今走っているのは国道16号線。これってぐるっと回って横浜まで通じているのか。事実、今朝16号を通ってきたもんな。しかしあと200kmってどういうことだ?
ナビで確認してみると横浜の自宅まであと102km。
その差98km。なぜ?
・・・ここでやっと気づく。
国道16号が俺の家まで最短距離を走っているわけではないのだ。
事実、国道16号線は千葉~埼玉~東京を経由して神奈川に通じている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%81%9316%E5%8F%B7
こんな簡単なことも瞬時に判断できなくなってきているのか。
これはヤバイ、少し休憩しよう。
しかし国道16号はそれを許してくれなかった。
適当な休憩場所、公園とかコンビニとかを探しながら走るがそれが見当たらない。
特に袖ヶ浦を過ぎた辺りから埋立地のまっすぐな道となり、左右には石油会社のコンビナートが立ち並ぶ。
行けども行けども景色は変わらず、コンビ二どころか日陰すらない。トラックの交通量が多くしかもかなりハイスピードで通行していて危険極まりない。
おまけに道路端は舗装が悪くしばしばアスファルトがめくれてガタガタ道となっているのだ。
この状態が10kmほど続いただろうか。
このとき俺の頭にはこの国道16号の呼び名が浮かんでいた。
ヘルウェイ
これは気を許すとやられる!
こんなヘルウェイで朽ち果ててたまるか!
そう思い、自宅を出発してからずっと聴いていたウォークマンを「柳屋小三治」の落語からアメリカンロックの「Journy」に変える。
(※本当はいけないのですが・・・僕はサイクリングの際はいつもウォークマンで何かしら聴きながら走っています。たいがい音量小さめに落語を聴いていますけどw)
ということで、どこまでも続くかと思われたこのヘルウェイ。
なんとか乗り切って休憩できたのは自宅を出発してからちょうど100km地点の市原市八幡浦というところにあったファミマ。
なんとラーメン屋から2時間38kmを休憩なしで走らされてしまったということになる。
ヘルウェイ恐るべし
さてそのファミマ。
ほとんど砂漠でオアシスを見つけた人状態で入店し、ペットボトルとパピコ(大好物w)
を買い求める。
幸い休憩所のあるファミマだったのでペットボトルを一気飲みしてパピコを堪能する。
すると隣り合わせた家族連れの5歳くらいの女の子も同じパピコを食べており、「あの人もパピコ食べてる~」と指をさされる。
うるさい、大人だろうがオヤジだろうがヘルウェイを乗り切って火照った体を冷やすため俺には今パピコが必要なのだ。
落ち着いてから生存情報を伝えるために奥さんにパピコの写真つきでラインする。
するとほぼ同時に奥さんも自宅でパピコを食べていたという。
どんだけ人気あるんだパピコ
さてさてこの時点で自宅を出発してから100km、そして残りは80km。ただいまの時刻は13時40分。
恐らく気温は今から数時間がピークになるだろう。体感気温は余裕で35度はありそうだ。
ナビによると、このペースで走れば19時40分には自宅に帰りつける。計画では21時頃に帰宅する予定だったのでそこそこ休憩を取りながら帰っても計画より遅くなることはあるまい。
よし、では出発するか。次のポイントは20km先の幕張あたりかな。
あ、そうそう愛車に気になることが一つあったんだった。
ヘルウェイを通行しているときに右のブレーキレバーがガクガクしたので出発前によく見とかなきゃと調べてみると・・・
え
ネジ抜けてるし~
おいおい、これ大丈夫なのか?と思いつつグリグリやってみると、すぐにどうこうなる感じではない。少しほっとしつつも、これが一番新しい部品なのになぁと、すかさずAmazonへのクレームの文章が頭をよぎる。
まあ今は無事に自宅に帰りつければそれでよし。
ということで幕張を目指しファミマを出発。
少し走ると国道16号に別れを告げ国道357号へ入る。
さらばヘルウェイ、また会う日まで(横浜でまた会うけど)
しかしこの国道357号は道幅が狭く交通量が多い。
走りやすいことは走りやすいがこれといった盛り上がりもなく淡々と進む。なのでここでBGMを柳屋小三治に戻す(笑)
千葉駅を右に見ながら更に進むとはるか彼方に高層ビルが見えてきた。
車輪よ、あれが幕張だ
よしよしあそこで休憩を取ろう。
ということで再びファミマを見つけ休憩を取る。
この時点でかなり喉の渇きを覚える。こりゃ500mlのペットボトルじゃだめだ。ちゅーことで2Lのボトルを買い求めて一気に1Lくらいを飲み干す。
時刻は15時ちょうど。暑い暑い。
残念ながらこのファミマは休憩所がないので入り口付近の駐車場のタイヤ止めに腰掛けて休憩する。
この時点で残り60km。自宅を出発してから120km。やっと三分の二まで来たか。
よしよしまだ十分に足は残っている。気になるのは股がこすれて痛いことと手首に疲労感があること。120km走ってこれくらいの疲労であれば残り60kmはいけそうな気がする。
さすがに2Lを全て飲み干すには至らず残った1Lは持っている500mlの空きペットボトルに分け分けして保存しておく。地球に優しいサイクリング野郎の俺だ。
さーて、休憩おわり。
このまま357号線を走っていればもうすぐ都内に入るはずだ。そうするとモチベーションも上がるかな。
がんばれ俺!
ってことで再スタートして30分ほどで江戸川を渡る。
やったー!ついに都内に入ったぞ。残りも50kmほどだ。だんだん残りの距離が現実的な数字になってきたぜ。やるな俺。
とモチベーションが上がったのもつかの間、なぜか浦安駅前の交差点に出てしまう。
はあ?江戸川渡ったら都内じゃないのか?いつの間に千葉に逆戻りしてるんだ?
ここはトワイライトゾーンかっ!
後で調べたところによると、江戸川はここから少し上流の江戸川水門から旧江戸川と江戸川に枝分かれしており、東京と千葉の境界線は旧江戸川のほうを通っているらしい。
旧江戸川はかつての江戸川本流であったが、色々あって支流扱いに格下げされたものの境界の名誉は保持しているようだ。
まあ、ここにクドクド書くほどのことではないか(笑)興味あれば下記参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%B7%9D
で、もう少し走るとその旧江戸川に架かる浦安橋を通過。
「東京都」の標識を期待したが残念ながら見当たらず。見落としたかな?
でも橋を渡ると葛西の住所表示が目に入るし遠くにスカイツリーが見える。
やっと江戸に着いた
江戸時代に参勤交代で重い荷物を持たされている下級武士のような気持ちだ。
しかし・・・この辺りから少し頭に微熱を感じるようになってきた。
なんだろう?風邪の引き始めような感じだが・・・朝はなんともなかったのにおかしいな。
で気づく。
これが熱中症の症状なんだろう。
身体自体が平熱を保てなくなっているのだ。だから風邪で体温が上がっているときと同じ感じになっているのだろう。
こりゃまずいぞ。ひとまず休まなきゃ。そういえば幕張から走ること20km。一時間以上走り続けているからペース的にもそろそろ休憩だ。
とはいえこの辺りはだんだんと都会の喧騒が激しくなってきているし、コンビニもこじんまりとして休憩できるようなスペースは無さそう。
マックにでも寄るか。どうするか・・・と考えているとマンションの横に小さな公園を発見。
飛び込むように愛車で乗り込む。
幸い人影はまばら。とりあえずベンチに腰を下ろし水分を補給する。
ふう、一息ついた。
ナビを見ると残り40kmほど。少しここでゆっくりして、あと1回ほど休憩を取れば帰り着けるだろう。
ふと目線を公園の中心に向けると水道の蛇口があることに気付いた。
う・うおーたー
そんなセリフが口から漏れていたのではないかと思える様相でベンチからふらふらと立ち上がる俺。頭から水をかぶりたい。できれば上半身ずぶぬれになってみたい。
しかし、ふと気がつけばそのすぐ横にある砂場で若い夫婦と子供が遊んでいるではないか。
いかん、この幸せそうな家族から見れば公園の水道で頭から水をかぶっているオヤジってどう映るだろうか。
ひょっとして、
家の無い人
まずい、俺が逆の立場だったら絶対にそう思う。どうするか。でも頭から水をかぶればこの気分も随分すっきりするに違いない。
ええい、かまうものか。なんと思われようが生存することが先決なのだ。
意を決して10mほど先の水道に向かい足を踏み出す。
そうだ!自転車をアピールするんだ!一瞬「えっ!」と思われても自転車が目に入れば「ああ、今日は暑いから頭を冷やしてるサイクリングの人ね」と納得してくれるに違いない。
俺は実際にそうなのだから。
そして自転車とともに水道脇まで移動して頭から水をかぶる俺だった。出来れば上半身裸になって水浴びしたいところだったが、さすがにそれをやると通報されるかも知れないので頭だけ2分くらい冷やし続けたのであった。
・・・これで随分と楽になった。しかし後で振り返ってみるとこのときが最も危ない時間帯だったようだ。
結局この家族は俺には何の興味も持たずに談笑していた。考えてみりゃそりゃそうだ。都会の真ん中で、見ればそれと分かるサイクリングの格好をしている男がこのクソ暑い日に公園で頭から水をかぶることくらい、この家族の夕食時の話題にもならないだろう。
ということでここで20分ほど休憩していたら随分楽になった。
それでは次は多摩川辺りで休憩を取るとするか。
ここから先は都内のど真ん中を走る。
東陽町のあたりを走っていると随分日が陰ってきた。標識に太陽が隠れると体感温度が違うように思える。
もうすぐ17時になろうとしている。
っとここでウォークマンのワイヤレスイヤーフォンの電池が切れた。自宅を出発してから11時間半。ラーメン食ってる30分以外はほとんどON状態だったからよく持ってくれたものだ。
ありがとう柳屋小三治師匠!
永代橋を渡るころにはなんとなく夕暮れが近くなってきた。
そして八丁堀から進路を南に取り築地市場前を17時20分に通過。
築地といえば小池都知事。どう決着するのだろうか、などとサイクリングとは全然関係ないことをチラッと考える(笑)
そこから埋立地帯のシーサイド側をずっと走り品川を過ぎたあたりで国道15号(いわゆるイチコク)に出た。
順調順調。
そろそろ残りも20kmほど。ここまで150km以上を走ってきたことになる。
じゃ、休憩所を探すか・・・ということで休憩所のある大森のファミマを選択。
ファミマ率 高!
ラーメン屋を出てから4回の休憩のうち3回がファミマかよ。どんだけ好きなんだファミマ。
などと考えながらクーラーの効いた店内で生き返るような気分。
よしよし、じゃあゾンビから人間に戻る最終兵器として奮発してアイスコーヒーのMだ!
で、レジで精算しようとするとレジのおばさん二人が「あら、この猫ちゃんかわいい~!」と俺のTシャツを見て素っ頓狂な声を上げる。
そう、この日着ていたTシャツは愛猫コタローのオリジナルプリントTシャツなのだ。
愛猫を可愛いといわれて悪い気分がするはずがない。
「え、ええウチの猫なんですけどね」と答えると「アメリカンショート?それともキジトラちゃん?」と畳み掛けてくる。
「あ、ベンガルの雑種なんですけどね」などとつい口角を上げて会話してしまった。
本日3回目の人とのふれあいだったけど、こういうのも悪くないものだ。(1回目はフェリーのハブ兄ちゃんで2回目は袖ヶ浦ナンバーの工事おっさん達)
で、アイスコーヒーでHPを回復。
ここから奥さんにライン。生存報告と「水風呂」の用意をお願いする。火照った身体を冷やすには水風呂が一番なのだ。
さあ残り20km。サクッと走破しちゃいますかぁ。あとはひたすらイチコクを走るだけだ。
ここまで帰って来たらば良く知っている道なんでナビは必要ない。とはいえ残り20kmから少しずつ距離が減っていくのを見るとペダルを踏み込むのが楽しくなる。
ここまで来てもまだ足は十分に残っている。心配していた腰の痛みもほとんどない。股擦れと手首の痛みだけはどうしようもないからこれは我慢我慢。
18時半についに多摩川を越える。神奈川県に戻ってきた!
なんか感慨深いぞ。
そして鶴見川を越えて横浜市に入ったのがちょうど19時。
・・・ほんとに戻ってきたなぁ。しかし家に帰るまでが遠足。得てしてこういう油断が思わぬ事故を呼ぶ。最後まで気を引き締めていこう。
そして横浜駅東口を通過したのが19時半。
すっかり辺りは暗くなってしまった。
ちょうど会社帰りの交通量が多い時間帯なので思ったよりもスピードが出せない。まあ焦らない焦らない。
家で待っている奥さんと愛猫と水風呂をモチベーションにしてペダルを踏み込む。
そして19時59分。ついに自宅マンションの駐輪場に到着。
走行距離178.8km 乗車時間11時間24分 休憩を入れた全所要時間14時間半
いやいやいや、疲れたけど楽しかった。
なにより大きなトラブル無く無事に帰って来れたことが一番嬉しいし、もっとヘロヘロに疲れ切ってしまうかと思ったけど、結構体力がある自分に自信も持てた。
(歳取ると筋肉痛が一日遅れでやってくるので怖かったがそれも無かったしw)
惜しむらくは「ただいま~、無事に帰ったよ」とマンションのドアを開けて部屋に入ると「お風呂、残り湯だけどいい?」と言われてプチッとキレそうになったことだけが誤算(笑)
本当に良いチャレンジだったと自画自賛
次回のチャレンジはどこにするかな。しばらくしたら熱海往復とか日光街道の旅とかまた考えてみることにしよう。
今回のワンイチの旅で触れ合った全ての人と奥さんと愛猫に感謝。
2017年7月28日
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